今日は、「投資で一番大切な20の教え」(ハワード・マークス著、日本経済新聞社)の第二弾です。
原書(英語版)を読むと、本書の内容がより理解でき、英語の勉強にもなるため、一石二鳥で生産性がかなり上がるので、おすすめです。
内容に加えて、若干の英語の解説も加えていきます。
第1章:Second Level Thinking(二次的思考)
Valid approaches work some of the time but not all. And investing can't be reduced to an algorithm and turned over to a computer. Even the best investors don't get it right every time.
有効な投資法はうまくいくこともあるが、いつもではない。投資はアルゴリズムに昇華し、コンピューターに任せることはできない。最高の投資家であっても、いつも正しいわけではない。

確かに、多くの偉大な投資家が同じようなことを言っていて、投資の経験がある方の多くは、納得されるかと思います。
Andを文頭の接続詞として使っていますが、美しい文章を書く英米人は文頭のAndを使わず、日本人は特に多様する人が多いので、避けるだけで、英文が見栄えします。
be reduced to...は、「減少される」が転化して、「~に要約される」というくらいの意味ですが、英語らしい表現ですね。

No rule always works. The environment isn't controllable, and circumstances rarely repeat exactly. Investing, like economics, is more art than science.
常に成功する法則はない。外部環境は、支配できず、全く同じことは滅多に繰り返されない。投資は、経済学と同様に、自然科学というよりも、人文科学である。

以前と同じ状況だと思ったとしても、必ずしも同じことが繰り返されるわけではないことは常に意識する必要があります。
投資の経験がある方の多くは、「これは株価が絶対に上がる状況」だと思って投資して失敗した経験があるので、この部分も真理をついています。
rarely repeat exactlyは、文法的には誤っていませんが、動詞の前後でlyという末尾の副詞で挟むのは珍しく、あまり美しはないように思います。
仮に言い換えるのであれば、rarely repeat in the same wayかexactly repeat in a rare occasion位でしょうか。

I most want to emphasize is how essential it is that one's investment approach be intuitive and adaptive rather than be fixed and mechanistic.
最も強調したいのは、投資手法は固定され、機械的というよりも、直感的・順応的であることが不可欠という点である。

偉大な投資家の多くを観察していると、確かに、直感的に、外部環境にうまく対応しています。市場と一体になって取引しているようだと言われることもありますね。

Only a few of them will achieve the superior insight, intuition, sense of value and awareness of psychology that are required for consistently above-average results. Doing so requires second-level thinking.
平均よりも上の投資成績を上げ続けるために必要な、優れた、心理の認識力、価値観、洞察力、直感力を習得できる投資家は少ない。
習得には、二次的思考が必要である。

その場合、requiredは形容詞の分詞的用法として使われ、形容詞の分詞的用法が使えるようになると、関係代名詞を多用するよりも、英語らしい英文になります。

Second-level thinking is deep, complex and convoluted. The second-level thinker takes a great many thing into account. To achieve superior investment results, you have to hold nonconsensus views regarding value and they have to be accurate.
二次的思考は深く、複雑である。二次的思考をする投資家は多くのことを検討の対象にする。優れた投資結果を出すためには、価値について大多数の人とは異なった見解を持ち、その見解が正しい必要がある。

成功している投資家は、不動産の含み益や将来の収益性等、現時点では見えない様々なことも深く考えたうえで、投資して成功しているため、これも説得力があります。
To achieveは、不定詞の副詞的用法ですが、目的を強調したい時以外は、文頭には使わない方が良いですね。

第1章だけでも長くなってしまいました。
次回、第2章以降を読んでいきたいと思います。