2019年7月18日に、ソフトバンクワールド2019が開催されました。
「推論によって、人類は進化してきた。現在は、AIが膨大なデータを使って推論するので、人類の進化は加速していく。
日本はAI後進国(発展途上国)になってしまった。かなりヤバい状況である。」
孫正義さん
孫さんの講演に加えて、AIを駆使して、Better World(より良い世界)を急激に作っているソフトバンクビジョンファンドの投資先の代表者が、それぞれの事業について講演をしていました。
今回は、Grab(東南アジアの配車プラットフォーマー)、OYO(インドの世界二番目のホテルチェーン)、Paytm(インドの電子決済及び電子商取引企業)、Plenty(アメリカの屋内農業企業)の4社でした。
いずれの会社も遠い未来のことだと思っていたことを、今この時点で実現し、実用化して、圧倒的な生産性を上げて、多くの人をより幸せにしています。
まだ、観られていない人は、下のYoutubeの動画をぜひご覧ください。
今日はその中から、Plenty(プレンティ)について紹介します。
Contents
Plenty(プレンティ):土、太陽光、農薬なしで作物を工場で育てる
SVFは、グーグル共同創業者のエリック・シュミット、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスともに、Plenty(プレンティ)に2017年に出資しました。
プレンティは、サンフランシスコの会社です。
室内工場で、ケール、ほうれん草、いちご等を土や農薬を使わずに、水耕栽培で育てて、販売しています。
下の動画は英語ですが、映像からだけでも、プレンティの事業が理解できると思います。
Plenty(プレンティ)工場の内部
出典:2019年7月18日ソフトバンクワールド基調講演
プレンティは屋内で、AIを使って、5mの高さの縦型の農園を運営しています。
縦型なので、土地をかなり有効に使うことができ、都市部でも省スペースで作物を育てることができます。
下の写真は、映画「マトリックス」で描かれていた世界を彷彿(ほうふつ)させます。
Plenty(プレンティ)の生み出す価値
出典:出典:2019年7月18日ソフトバンクワールド基調講演
同じ作物を育てるために、必要な水の量は5%以下です。
土を使わないため、虫がおらず、農薬を使いません。
LEDの光で光合成を促すため、水と電力があれば、どこでも野菜が作れます。
都市部の屋内で作れるため、消費者のすぐそばで作れるため、食卓に届くまでの距離が短く、いつでも新鮮さを保つことができます。
収穫性(生産性)が最大で350倍です。
現時点でも、1週間で野菜が収穫できるので、年50回程収穫ができます。
AIを使って、遺伝子組み換えではない、品種改良や様々な調整ができるため、色、味、栄養価を調整できます。
栄養だけでなく、とりこになる味(craveability)も追求しています。
例えば、栄養価が高く、子供が欲しがる、美味しいケールを作っています。
アメリカの一部地域に住んでいれば、プレンティのケールがこちらのサイトで購入できます。
Plenty(プレンティ)が使いこなすAI
出典:2019年7月18日ソフトバンクワールド基調講演
膨大なデータとAIを駆使して、最善の栽培方式を探して、安全で、美味しい、栄養価の高い作物を育てています。
人では決して管理できない、膨大なパラメータもAIが管理し、最適化を図っています。
Plenty(プレンティ)の残された課題
プレンティは、味が良く、栄養価が高く、無農薬で安全で、見た目が良く、新鮮な野菜を作っているため、課題がないようにもみえます。
唯一の課題は、生産コストに基づく、作物の値段だと思います。
先に紹介したサイトでは、約140gのケールが約550円で販売されています。
大規模(又は多拠点)生産によって、スーパーに並んでいる作物に比べて安くなれば、急激にビジネスが拡大するチャンスがあります。
中国やアラブ首長国連邦にも進出することを発表しています。
なお、このコスト/価格の話や世界展開の話は講演では触れられていませんでした。
いずれにしても、プレンティのAIを活用した農作物が、今後予想される食料危機や食べ物に起因する生活習慣病を防ぐことができるかもしれません。
プレンティの今後がとても楽しみです。
*株式投資は自己責任でお願いします。
Best of Luck!